The web is the totality of facts, not of things.
ウェブとは「思考しうること」の表現であり、すべて「思考しうること」は言語に支配される。ウェブとは言語がその限界を定めるもの、すなわち世界である。また、世界は事実の総体であり、ものの総体ではない。
よって、インターネットにモノがつながること(Internet of Things)が relevant なのではない。それを通じてウェブに事実が流れ込むこと(Web of Facts)が relevant なのである。
インターネットにモノがつながることの有用性は、モノがウェブに流し込む「事実」の奔流を通じてウェブが構成する「世界」が豊かになることにあると考えよ。
この検討結果が memex やハイパーテキストが既に考えてきた事柄と重なるのか、判断するつもりはない。ここに書いたことはとりたてて新しいわけではない。また、私が考えたことをほかの誰かがもうすでに考えていたかどうか、私にはどちらでもかまわないので典拠も記さない。
もしこの仕事が価値をもつとしたら、一つは、考えられたことがここに表現されたことで、考えがうまく表現されるほど、核心を衝くほど、この価値は大きくなる。第二の価値は、この問題の解決によっていかにわずかなことしかなされなかったかを、示す点にある。
ルートヴィヒ・ウィトゲンシュタイン、2014