世界の測量

Sibling of "Relevant, Timely, and Accurate, " but much lighter and shorter ※自らの所属する組織の見解を示すものでない

地理空間情報管理の具体的な課題とは何か。

Spatial Law and Policy: Will A "Geo-Divide" Arise Between Nations In The Future?は全文読むべきと思われるが、その中で、具体的に地理空間情報管理(geospatial information management)の課題が記載されているところがあったので、そこだけを訳出する。地理空間情報管理に関する適切な法的・政策的枠組みが整わなかった場合、企業及び政府機関は以下のようなことについて混乱することになるという。

  1. どのような地理空間情報を収集して良いのか。
  2. 様々なデータセットを統合しても良いのか。
  3. 個人情報、データ品質、情報セキュリティに関するどのような手続きを取れば良いのか。
  4. 地理空間情報を第三者に移す場合にどのような手順を踏むことが必要なのか。
  5. 不完全、不正確、あるいは特定の目的に合致していない地理空間情報を用いた製品あるいはサービスを提供することでどのようなリスクを負うことになるのか。
  6. こういった問題あるいはその他の潜在的な問題に関連して、どのような潜在的な法的責任が発生するのか。

このようなあたりで迷うような社会においては、地理空間情報の活用は推進すべくもない。つまり、地理空間情報活用推進社会においては、

  1. 誰がどのような地理空間情報を収集して良いのか、合意ができている。
  2. データの統合利用について、合意ができている。
  3. 個人情報の取り扱い、データ品質の明示、情報セキュリティの確保について、それぞれの定義だけにとどまらず、具体的な手続きが定められている。
  4. 地理空間情報を第三者に移すときの権利関係の処理が手順も含めて明確に定められている。
  5. 地理空間情報の完全さ、正確さ、目的合致性などについての提供者の責任が明確になっている。
  6. 全般的に、地理空間情報取扱者の潜在的な法的責任が明確になっている。

ことになる。上記のようなことはまったく実現されておらず、実現の方向性も見えておらず、非常なチャレンジである。次のステップとしては、このような課題にはどのようにチャレンジしていくかを考えていくべきであろう。
逆に言うと、上記のようなことが、「地理空間情報管理 geospatial information management」という言葉が何を示すか、という説明となるであろう。