世界の測量

Sibling of "Relevant, Timely, and Accurate, " but much lighter and shorter ※自らの所属する組織の見解を示すものでない

Geo+Webの新局面を象徴する「Turf for local gov」について


Turf for local gov: potholes and parking meters | Mapbox

ウェブ地図が単なる「プレースマークに吹き出し」だけの段階を脱する、それはウェブ地図の未来像の中に確実に描かれていることなのですが、その方向に力が入り始めてきました。呼応する分野の選択も、さすがです。

属性表示を吹き出し表示に持たせず、地図の外のしっかりデザインされた場所に持たせる、それは技術的には大したことではなく、また、以前からも行われたことですが、ウェブ地図が趣味ではなくて生活に使われるためには、そういった方向のデザインが死活的に重要です。そういうところをしっかり行っていることが重要です。

もうひとつは、「ウェブ地図は簡易GISである」という古い偏見を脱して、ウェブにまともなジオ技術を入れることを怠っていないこと。ウェブブラウザは制限された計算機環境というよりはむしろ、ITのメジャープレイヤーがしのぎを削って新しい計算機の使い方を切り開いていっている、最新の計算機環境です。ここでGISが数十年にわたって育ててきた技術を花開かせること、その仕事をしっかりと行っています。ちなみにデータのフローがデスクトップとウェブでは大きく違う、というのが致命的な違いで、データフローについてデスクトップと同じ発想をしていると、根本的に誤ります。そこを誤っていない、というのがこの分野の実力者共通の特徴だと思っています。

「UIないし可視化の問題」と、「ブラウザサイドのGIS処理の問題」が、方向を開くために外さなければならない「かんぬき」なのですが、かれらの動きは、このかんぬきを2つ同時に外す動きに見えますね。
2つ同時に外すことで、革新の外見を得られますし、他が追いつく可能性が減少する。オープンソースの手法を取りながら他の追従を許さないには、相応の実力が必要ですが、今の彼らは実力者の集中に成功しているように見えます。

自分がこの技術潮流の中でどう動くか考える以前に、ジオ界がこれだけまともに技術の発展を迎えられたことを見るのが何より嬉しいです。
ジオがこの方向に進むこと、これがここ1年半くらいで大切な、ジオのブレークスルーになり得ると思います。
こういった技術を使えるプレイヤーを、早期に一者でも増やせなければ、我々はジオの発展の傍観者になってしまいます。

もうひとつは、仕事のかたち、の問題ですね。この先4年くらいは、技術が事業の形、ひいては制度をどんどん変えてくる状況になるはず。2000年代に制度が技術を誘導できると考えた(XML, UML, CALS etc.)のと真逆の動きですね。それに対応できるためには、技術と事業を同時に考える形、動きの早い技術潮流の中に継続的に身を浸しながら事業の軌道修正をかけられる形を取れるひとが強いです。(勿論、形以上に中身が大切です。)クラシック(オーソドックス)なコンサルティングや受託開発の形では、この形を取るのは非常に困難です。ソーシャルコーディングを使える事業体、というのは、既存の慣行のなかでとり得る一つの良好な形だと思います。