世界の測量

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ボランティアGISと地理院地図(雑誌「測量」7月号 碓井論文から抜き書き)

雑誌「測量」7月号に、NPO法人全国GIS技術研究会理事長の碓井照子先生(奈良大学名誉教授・地理学)の論文「2005年以降のGIS産業の質的変化(1)ーネオジオグラフィーの世界とボランティアGISー」が掲載されており、この中でボランティアGIS地理院地図の関係について次の通り述べられていると思われるので抜書きする。興味のある方は原本をあたっていただきたい。不適当な抜き書きや、打ち間違いなどを私がしているかもしれない。

Google Earth / Maps は、全世界の人々に地球上の地理空間情報の共有化と、巨大地球プラットフォーム型データベースとしての検索を可能にさせています。また、地球レベルでの地理空間情報がユーザ参加型で作成され蓄積されるところから有名な米国のGIS学者であるグッドチャイルド(Goodchild, M. F.)は、これらをボランティアGISと言っています。

日本初のボランティアGISの事例として国土地理院が独自に開発した電子国土Webシステムがあります。2003年から国が運営している電子国土プラットフォームで、Google Earthより歴史が長いといえます。現在は、「地理院地図」に名称が変わりましたが、2003年当時からAPIなども公開され、誰でもがWebGISを開発できる日本では最初の政府によるボランティアGISでした。現在では、オープンソースであるFOSS4Gを使用して電子国土Webが開発され、2012年9月に電子国土Web.NEXTとしてリリースされ、現在は、地理院地図に名称が変更されました。

現在の地理院地図(電子国土Web)の特徴は、ベースマップが電子国土基本図で、ボランティアGISのプラットフォームとしては、信頼性の高いものです。日本の位置の基準である道路や建物、河川など13項目、国民は、多様な情報を張り付け、地理空間情報の共有化が可能になっています。

地理学の見地からの整理・評価の一つとして、非常に興味深いと感じた。この論文には、ボランティアGISとして、言うまでもなくGoogle Earth, Google Maps, OpenStreetMap等が挙げられているが、電子国土Web=地理院地図が「日本初のボランティアGISの事例」として取り上げられているというのは独創的であると感じた。