世界の測量

Sibling of "Relevant, Timely, and Accurate, " but much lighter and shorter ※自らの所属する組織の見解を示すものでない

ツールとしてのいくつかのことばの定義

思考のツールとして、いくつかの言葉をかりそめに定義しておく。

オンラインデータ

使用可能な形でオンラインアクセス可能になっているデータを指す。伝統的に、インターネット提供されるデータは、直接使用することは不可能なアーカイブ形式で配布されることが多かった。この場合、まずデータを特定し、ダウンロードし、展開し、デスクトップGISソフトウェアで開いて、必要に応じてスタイルを設定し、設定を保存し、初めて使用可能となる。

オンラインデータの場合には、オンラインでアクセスできるリソースそのものがウェブブラウザなどで解釈可能となっているため、上記のようなステップを多数省略することができる。その裏返しとして、処理をしながらデータを取り込む必要があるため、処理の特性に応じて十分にパフォーマンスを発揮できるようなデータの分割方法等の工夫が必要である。最も知られており最も実績がある工夫の一つが「タイル」(後述)である。

オンラインデータの副次的効果としては、「ダウンロード」、「複製」、「二次利用」といった概念を相対化しうる余地があるというところがある。通常の使用において、ダウンロードや複製といった具体的な操作は、クラウドサービスでファイルシステムが隠蔽されるのと同じような意味で隠蔽される。また、一次的なデータ取得と二次利用がブラウザ内で一体として実施されるのが通常の使用になる。

ウェブネイティブ

ウェブ(ウェブブラウザ)での使用を本位とする、ということである。ウェブネイティブは、データ設計にもソフトウェア設計にもひとつの指標となる。例えば、XMLにおいては文字コードは文書内に記述するが、ウェブネイティブに発想するのであれば、HTTPリクエストヘッダ及びHTTPレスポンスヘッダで表現すべきである。表示のスタイルは、SVGCSS(≒CartoCSS)を用いるのがウェブネイティブであろう。ウェブネイティブの考え方を持ち込むことにより、スコープの絞れた仕様の検討が可能である。ウェブ環境の現状は、ウェブネイティブが必要でありかつ可能であるという絶妙な状況にある。

ウェブデータ

ウェブネイティブなオンラインデータ。「オンラインデータ」及び「ウェブネイティブ」は、私の頭の中でかなり重要なコンセプトになっているが、かりそめにこれらのコンセプトを組み合わせた場合、ウェブデータと言えるのではないかと思う。ウェブデータ的な地理空間情報は、典型的なジオ応用以外にも抵抗なく使われる、データのインフラストラクチャのようなものを構成しなければならない。

タイル

ウェブネイティブなオンラインジオデータ又はウェブジオデータを実現する手法として最も実績がある方式と考える。Dane Springmeyer さんが今年の SotM US で語られたとおり、タイルのペイロードが何かを考える以前に、タイルという空間分割方式がまずあって、ペイロードはデータ作成者のお好みで何でも入れられると理解したほうが速いしまた妥当である。ペイロードには画像、CSV、ベクトルデータ等何を入れてもタイルである。