世界の測量

Sibling of "Relevant, Timely, and Accurate, " but much lighter and shorter ※自らの所属する組織の見解を示すものでない

ところで地図は?

@niyalist さんの2011年を振り返る - niyalistのブログのもう一つのポイントについて言及していなかったので、「世界の測量」スタイルとして別エントリでエントリ。@niyalist さんのエントリで「ところで地図は?」と題されたパラグラフのところ。@niyalist さんのエントリでもここだけですます調になっているのだから、ここは格別のコンテンツであるとも思える。@nilyalist さん曰く、

  1. 「Web時代のGIS技術」という問題設定は今も有効で重要だと思っています.(私も、2010年代を支配する問題設定だと思います。WebとGeoがどちらの修飾語にも限定語にもなっていない、両者が対等合併して両方を強め合い広め合うイメージのGeo+Webには、これから実現すべきところが山積しています。)
  2. 地図だけでなく,位置情報,位置適応性があらゆるサービスの重要な要素となる中で,アプリケーションプラットフォームとして進化を進めるWebの,位置や空間情報への対応は更に数段進歩しなくてはならないと感じています.(ジオの側が進歩しなければならないという考えではなくて、ウェブの側が進歩しなければならないという考えの提示。実は、どちらに考えても、到達点が現在のジオでも現在のウェブでもない以上、同じこととはなるのだが、ウェブがジオの必要に合わせて進歩すべきというアイディアは、すばらしい。)
  3. 自分が今進めているような研究こそ「次の地図だ」と思っている(つまりすべての地図人は、 @niyalist さんの研究をフォローするべき。これは実にそう思いつつ、まとまって @niyalist さんの研究をフォローしてはいない。当然のことであると思うけれども、研究はアカデミアのフォーマットに従っており、ウェブのフォーマットに従っていないから、フォローにはある程度の労力が必要。)
  4. 地図を,「地理空間やその上で起こっている現象を解釈することで,自分自身も何らかの行動を起こす人を支援する情報」と定義する(実は、「地理空間」という概念は「geospatial information」の直訳である「地理空間情報」には本来はない、もとの言葉からすると「虚像」とも言うべき概念で、「地理空間情報」という言葉から「地理空間」という概念が虚像として発生してしまったら愉快だなと個人的には思っていた。でも、この機会に「地理空間 geospace(!)」を語り、一気に概念化して実像に変身させてしまうともっと愉快だろうなと感じます。)
  5. バス位置や時刻表も地図(空間情報)だし,経路探索結果も地図の一種なのです.(@niyalist さんのとおり、バス位置や時刻表や経路探索結果も含めた地図(空間情報)に新しく名前をつけるよりも、地図の定義を健全に拡大して、それも含めて地図と呼ぶことを常識化したほうが早いし、地図のためだと思います。だから、地図人は囲い込み反応ではなくて取り込み反応をしたほうが戦略的であると思う。)