世界の測量

Sibling of "Relevant, Timely, and Accurate, " but much lighter and shorter ※自らの所属する組織の見解を示すものでない

@niyalist さんによる 2011年の振り返り

2011年を振り返る - niyalistのブログの内容が濃いので、私の興味を強く引いた3つのポイントについて要約してみる。通常やっているようには、はてなブックマークで要約しきれなかったので。()内は私による推測であるから、間違っているかもしれない。ボールド化も私による。また、各項目の末尾には私の感想が入っている。

  1. ユビキタスコンピューティングはここ数年で(企業による)実用化が進んだ状況にあり、研究者の研究テーマ設定は「より先進的で萌芽的なシステムやサービスを提案」「厳密なモデル化や高度な数学などを駆使した精緻な研究」「途上国や高齢者など,技術が行き届かない対象への技術の導入を研究」といった次の段階に進んでいる。@niyalist さんは「ユビキタスサービスを実用サービスとして開発,運用しながら知見を得る」という段階に入ることを選択。実用サービスから得られる知見を重視することでユニークかつ先進的な研究を行うという戦略。なるほど。
  2. 「実用サービスから得られる知見はドメスティックになりがちである」という法則の発見。「実用サービスを構築するに際して考慮すべき細部に至れば至るほど,議論がドメスティックになりがちで,そのこと自体の善し悪しは簡単には言えないと思うのだけれど,戸惑ってもいる.」とのこと。違う意味のドメスティックだけれど、年末年始の休暇にはドメスティックな環境で考えを温めることも重要だと思っていた。ドメスティックの正の側面としては、Bjork のアルバム「Vespertine」を連想する。Vespertine には、Domestika というタイトルが予定されていたという。c.f. Amazon.co.jp: Vespertine: Bjork: 音楽
  3. 震災による日本の社会の価値観の変化。「2011年を境に,日本の社会の価値観,考え方は大きく変わるだろう.例えば,放射性物質に対する子供を持つ母親の反応が,Twitterなどの上で可視化され,ひとつの勢力を形作るようになっている.年齢の高い男性中心の価値観とは大きく異なる価値観が,次の社会の姿を基礎付ける潮流のひとつになりつつある.」という。私も、震災による日本の価値観の変動は大きいと感じており、まるで震災によって鎖国時に構築されていた何かの防護壁が崩落したように感じた。遣唐使の影響がその停止後も含めて数百年にわたり続いたあと、遣唐使の影響の支配力が消滅したように、鎖国の影響がその停止後も含めて数百年にわたり続いたあとの2011年になって、その影響の支配力が消滅したように感じられた。逆に言うと、鎖国開始前の状況が戻ってきたように感じた。なぜ「影響がその停止後も含めて続く」と思ったのか。鎖国停止時点では、鎖国の影響力を正しく感じることは難しいと思ったからだ。鎖国停止後の変動(この論理においては、20世紀までにいたる日本の戦争はすべて攘夷戦争と解釈することになるかもしれない。その戦争の影から生まれた経済成長も変動に含むことになると思う。)がひととおり落ち着いた21世紀にこの震災が発生して、鎖国の影響が完全に消滅したことが自覚できるようになったように個人的には感じる。

最後の連想から史実を適当に確認してみると、遣唐使の停止提言が894年(遣唐使 - Wikipedia)とのこと。その約160年後ころは、前九年の役 - Wikipediaが起こっている頃であるとのこと。鎖国の停止をWikipediaにならって1854年(鎖国 - Wikipedia)とするならば、2011年は鎖国の停止から約160年後となる。そのくらいの時間距離感である。

時間距離感の把握をしたがるのは、私の癖かもしれない。第1回の「Web時代のGIS技術」勉強会でも、同じような連想をしている。

文字数は1800文字程度と予定を超過し、最後は非常にドメスティックなコンテンツとなってしまった。